2011年
9月
19日
月
表の荒彫りが終わったら次は裏側から彫り込んでいきます。
まずは鏡で表の図を見ながら図を描き込み。
基本は表で下げた低いところを裏では高く、表で高いところを裏では下げるというようにしますが、厚みの余裕があれば表の図をそのまま反映させるのではなく、少し変えることもします。基本的に表の見栄えがするようにもっていくので裏は寂しくなりがちですが、不利な条件の裏側を上手に熟すのが本当のところです。
2011年
10月
15日
土
(←)まずは縁を突く工程
欄間を縦に起こして台と共にハタガネでしっかり締め付け固定する。
(←)裏丸で、墨付けした線を基準に突いていく。
2011年
10月
20日
木
裏丸で線まで下げたら、平鑿で一削りして仕上げます。
表裏両面の線に対して太鼓に膨らんだり、逆に削り過ぎて凹んでいると、完成して欄間に上がったときに目立つもので、鑿を切らせて一気に削るようにします。
この突き鑿は鍛冶屋さんに注文して作ってもらったもので幅が一寸八分あります。平鑿は平面を削るときに角が立たないよう僅かに甲丸に研いであり、狭いところは小道具や小刀を使って仕上げます。
彫刻の場合は大工さんのようにホゾを突いたりすることが少ないので甲丸にすることが多いのです。
2011年
12月
18日
日
フクロウは他の鳥と違って目が正面にあって遠近感をより把握できるようになっています。フクロウを彫るにあたって調べてみて初めて知ることばかりでした。
ちなみに脚の指が中趾、外趾、後趾と内趾と四本あり、一番外にある外趾は、後ろの後趾側にもどちらにも持って来られるようです。
高いところで離れて見た時にボケてしまわないように一枚の羽を大きく段差を強く入れますが、今回は柔らかい感じにします。
2012年
1月
13日
金
今度は正面向かって右側、欄間の表の仕上げになります。
この右側の欄間は、上の方から枝が下がって来て、右下の方へ伸びている図になっています。
2012年
2月
23日
木
裏側の仕上げも終わりました。一旦、建具屋さんに回して枠を入れてもらいます。
裏はそのまま、表は縁が三分(1㎝)ほど下がり、地は二分五厘(7.5mm)ほどの厚さになって枠に入るようになります。
そして最後に補強の{つなぎ}を外して仕上げれば完成です。
2015年
4月
29日
水
富山へ行って作業して来た板が糸鋸屋さんから届きました。
さすが素姓の良さそうな木で、北陸と関東の湿度の差で割れが心配でしたが大丈夫そうです。
楠はなかなか乾きにくい木で、このように厚い板で乾燥材を見つけるのは大変です。
たいがい糸鋸で抜いて、彫りながら乾燥させて行きます。
この木も丸太から三枚挽いたものの一枚でまだ水分を含んでいる状態。
見当は付けてありますが、この段階でも少し木が痩せました。
とりあえずはじめの段取りは良いですが、ここから大変です。
2015年
5月
02日
土
まずは全体の縁の部分を下げて行きます。
木が動くかもしれないので今の段階で全ては外せませんが、仮枠があると彫りづらいので一か所ずつ外しながら作業したいと思います。
ずっと一巡り、枠より上になる笹部分の厚みを見ても板のごつさを感じます。
2015年
5月
20日
水
荒落としと言う作業で大きく上げ下げをし、その後徐々に彫り込んで行きます。
(←)松の葉も何段階か工程があり、これは芯を出したところ。
2015年
5月
27日
水
手や目の届かない部分を彫るために周りを回りながら作業。
欄間の幅があるため、手を伸ばしての作業が辛い部分があります。下から見るものなので上側から見当を付けて彫るのは難しいところです。
出来るだけ下側からの目線で彫り、上から補います。
2015年
5月
31日
日
これで表の荒彫りは一段落。
まだまだ結構な重量があります。
そしてやっと裏側に回ります。裏でも十分に厚みがあるところは背中合わせのようにして表の図を写して彫ります。
2015年
6月
05日
金
表と照らし合わせながら図を描き入れて行きます。基本的に表で一番奥のものが裏では手前、表で顔が見える人物は裏では背中という具合になります。
表だけとは違い、裏からも彫るというのは大変です。
2015年
6月
09日
火
裏からも透かして軽く深く見えるように作業して行きます。
表よりは注目されないとはいえ、手を抜くようなことはしたくありません。
裏は表を見ながら彫り進めなくてはならないので手間が掛かります。表の為に裏から、裏の為に表から彫らなければなりません。
これで一通り荒彫りは済み、行ってみれば折り返し。仕上げに入って行きます。
2015年
7月
14日
火
お寺の欄間で唐狭間(からさま)と呼びます。
図は恵比寿大黒で縁起物です。約高さ60㎝、横幅129㎝、厚み9㎝、クスノキ材で彫り上げてあります。同じ埼玉県のお寺に納めたものです。
2019年
4月
16日
火
彩色前と途中経過
木地彩色で木目が消えないほどに色を入れて行く。
板目と木口、また部位により染み込み方も量も違うため、様子を見ながら徐々に進めます。
2019年
4月
26日
金
納品前の部屋の様子
ここはお寺の応接室で、もともとは無色の透明ガラスが入っていたところに彫刻を入れたいというお話から始まりました。
大工さんにあらかじめ作業してもらい、溝切りと障子を張ってもらってあります。
どうしてもそれぞれの箇所ごとに、わずかな歪みや寸法の差が出てくるものなので収める時に微調整をして入れます。
体験しないとわからないことですがギリギリに作ってしまうと今度は取れなくなってしまいます。戸と同じでケンドン式になっているので上の溝に入れてから落とし込めるように徐々に鉋で削るのです。
押し込んでそのまま嵌めるわけではないので少し余裕が必要です。